【読書感想】『私は真実が知りたい』ぼくも真実が知りたい、でも難しい

森友事件ってあったじゃないですか。

あれがぼくはすごく怖かったんですよ。

報じられてることが本当であれば、国家規模で嘘を貫こうとしているってことで、今後何を信じていけばいいかわからなくなるって話ですよね。

この件は、一瞬桜を見る話にとって変わられた印象があったのですが、ぼくらがマスクをし始めた頃に、公文書の改ざんを命じられ、良心の呵責に苛まれて自殺した赤木俊夫さんと言われる方の手記が公開されてまた話題になりました。

そこには自分に改ざんを命じた上司の名前や、なんでそんなことをしなければならなかったかについて、克明に記されてたわけです。

しかし、こんどは新コロと五輪やるのか問題が続いたことであまり報じられなくなりました。

ところが実は、赤木さんの奥様である赤木雅子さんと、この件について丁寧に奥様とやりとりを重ねた記者の相澤冬樹さんが共著で書かれた本が出版されてるんですよね。

これです。 

ノンフィクションの話のはずなのに、不謹慎ですが、ぼくはミステリー小説を読んでいるかのような、不思議な錯覚を覚えました。

どこにでもいる普通の女性が、誠実で優しく、多趣味な夫が上司からの命令で心身の均衡を崩して自殺し、自宅で遺体を発見するところから始まる物語です。

まだ暖かい首を吊った夫の遺体を降ろすシーンは読んでてマジで辛いです。

夫の死後、赤木さんに対し上司や同僚は「嗅ぎ回られると厄介だから」とマスコミを避けるように誘導してきて、次第に誰も信用できなくなっていく中で急接近してきた相澤さん。

はじめは警戒感を全開にされながらも、会話を重ねていくうちに次第に心を通わせ、赤木さんは相澤さんと共に国家権力に挑んでいく。

夫はなぜ死ななければならなかったのかが知りたくて。

どうですか?

もはや物語ですよね。

でも、これがノンフィクションなのが本当に怖いなと思うんです。

この本は、相澤さんが集めた事実が並べられていて「そこから導き出せる青写真はこうなんだけど真相はどうなんですか?」と相手にボールを投げている形式になっています。

もちろん、鵜呑みにしてはいけないとも思うんです。

ただ、この本を読む限り、そしてその後自分で調べる限り、ちょっずつ進んではいるものの、大事な真相部分、核心については明らかにされてないように感じます。

そしてぼく個人は、この本に書かれてることが真実なんじゃないかと感じています。

同じ方式で「真相はどうなんですか!?」とボール投げてちょっと前に話題になって返答待ちなのがこの本ですよね。

どちらも「本に書いてることは間違いです、根拠はこれです。」と返してくれればそれでおしまいなのに、お相手がだんまりを続けているのでもやもやします。

相澤さんが関係者の方に突撃インタビューして「否定しないのは認めているのと同じですよ」と聞くシーンがでてくるのですが、つまりそういうことなんでしょうか?

繰り返しますが、ボールを投げたところで終わる本なので、これらの本を鵜呑みにするのは、自分の好きなテレビやネットの情報を鵜呑みにするのと変わらないのかもしれません。

なのでこちらも、ボールを受け取ったと思って、関連する本や反対意見にも当たってみて、自分の主観的な結論を出して、その結論を持って投票いかなきゃいけないんだなーと思います。