【読書感想】『兇人邸の殺人』清々しいほどのトッピングのメガ乗せ感

今日は続きが気になって一気読みしてしまった小説の感想を書こうと思います。

あらすじ紹介程度のネタバレがありますんでお気をつけください。

今村昌弘さん著の『凶人邸の殺人』です。

この物語は『屍人荘の殺人』『魔眼の匣の殺人』の続編にあたるお話で、順番に読んでいかないとわけがわからないのですが、順番に読んでいくとどんどん盛り上がってきてとても面白いミステリーです。

ミステリー好きな大学生「葉村 譲」くんが、学生ながら警察と共に難事件を解決に導いている美少女「剣崎 比留子」さんと出会ったことで奇妙な事件に巻き込まれるようになるお話なんですね。

このシリーズの1番の魅力は、ミステリーとホラーのいろんな要素をごった煮のモリモリ増し増しで提供して、さらにミステリーとホラーの「あるある」を、ある種皮肉めいたテイストで振りかけてるところだと思うんです。

ラーメン屋にいって「ネギも玉子もチャーシューもマヨネーズも乗せておきましたよ!でも、それってラーメンなの?」って店長に言われるようなものです。

それをあえて、清々しいほど爽やかに豪快にやってるところが、このシリーズのぼくが感じてる面白いところです。

主人公の譲くんがミステリーオタクなので、古今東西のでミステリーものをメタ的に斬ったりもするんですよね。

今回もすごかったです。

シリーズの3作目ともなれば、このお話はどんな設定なのかとか、主人公はどんなキャラなのかとか、そんなことすっ飛ばしてかなり早いペースで人をばったばたと死なせながら、「今回はあれとこれとそれを組み合わせて来たか!」って楽しませてくれます。

おそらくなんですが、ポテチはのりかうすしおしか認めない派な方は、どっちらけてしまうかもしれません。

でも、回転寿司に行って、カルフォルニア巻きをついつい取っちゃうタイプの方は、楽しめると思うんですよね。

これって、日本の文化ににてるなぁって思ったりします。

いろんな文化を混ぜ合わせて独自のものを作るのってめっちゃ得意じゃないですか。

こういう「美味しそうなものはとりあえず齧り付いてみとく」って、わりと嫌いじゃないんですよね。

かじってみて、酸っぱかったり苦かったりしながらも「でもこれは美味しいな」って部分を自分の好きなものと掛け合わせて新しいものをつくっていって、その中のメインストリームになるものがその時代の文化として、後の時代に語られるものになるんでしょう。

そういう、メインにはなりきれなかった、もしくはこれからなるものが、まずはゲテモノと言われたりするのかもしれませんね。

マヨネーズご飯とかも、世が世なら文化になってたかもしれないってことかもしれません。

凶人邸の殺人も、すごくイイところで次回作に続いてしまっていて、今後の展開が楽しみな小説です。