【読書感想】『同志少女よ、敵を撃て』美少女スナイパーの生き様に夢中になる

みなさん、百合はお好きですか?

今日は、逢坂冬馬さん著の小説『同志少女よ、敵を撃て』の感想を書こうと思うのですが、ぼくは第二次世界大戦を舞台とした作品がやや苦手な傾向にあり、この小説が話題になってた頃も気になりつつ読むのを躊躇っていました。

しかしブログ友達のゆきにー (id:yuki_2021)さんが以前「これは百合小説である」とおっしゃられていて「なるほど、エンタメ性の高い作品なのか、じゃあ読んでみようかな?」と思い読んでみたところ、これがどえらい面白かったという次第なのです。

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以下、物語の核心に触れないようあらすじを書かせていただきます。

物語は独ソ戦真っ只中の1942年から始まります。

主人公の「セラフィマ」は戦地から少し離れた農村で風の便りに戦争が激化していることを聞きながらも村は平和そのもので「大人になったら外交官になってソ連とドイツの架け橋になりたい」と夢見ながら、猟師の母親の仕事の手伝いをしている女の子です。

父親は幼い頃に病気で亡くなっているものの、村のみんなは家族同然で幸せに暮らしていました。

ある日、母親と一緒に猟を終えて村に帰ってみると、村の様子がなんだかおかしいのです。

離れたところから様子を伺うと、敗走中のドイツの小隊が腹いせに通りがかった村を襲おうとしていたのです。

セラフィマの母親は、猟銃をドイツ兵に向けますが、人を撃ったことがないため引き金を引くことを躊躇ってしまいます。

その様子を敵狙撃兵に勘付かれ、母親はセラフィマの目の前で逆に撃ち殺されてしまいます。

そして始まる村の侵略、むごたらしく殺される優しかったおじさん、レイプされ殺される友だち、セラフィマの目の前で地獄が繰り広げられます。

ついにセラフィマも見つかってしまい、あわや…というところで自国の小隊が駆けつけドイツ兵を掃討します。

部隊を率いていたのは「イリーナ」という女性兵士でした。

彼女は「リュドミラ・パヴリチェンコ」という実在したソ連の天才女性狙撃兵と肩を並べて戦っていたものの、戦いで指を失い後進を育てる職についています。

漁師として生活していたセラフィマに狙撃兵としての才能を見出したイリーナは「戦うか、死ぬか」の二択を迫ります。

村のみんなの、特に母親を撃った狙撃兵への復讐を誓うセラフィマが連れられた施設には、自分と同じように戦争で家族を失い、イリーナによって集められた女性たちが大勢いました。

イリーナは彼女たちを狙撃兵として育成し、女性だけの狙撃部隊を作ろうとしていたのでした。

って感じで物語が始まり、セラフィマは、厳しい訓練を乗り越え、狙撃兵として戦場へ赴き、多くの仲間と敵の死を目にしながら、着実に実績を積み上げ、隊は「魔女部隊」の異名を取るようになり、一流の兵士として名を上げていくことになるんです。

この展開があまりにドラマチックで、史実に基づいた話でありながら、宇宙世紀のガンダムや、進撃の巨人のようなどこかSFチックな戦記モノに感じられるわけなんですよ。

「戦争はよくないな」と思わせつつ、それでいて戦闘シーンはあつく、群像劇はドラマチックで、しかも女性ばかりの百合部隊で、ぼくの脳内では鋼の錬金術師のホークアイみたいな人たちが戦ってました。

というか今年で言えばリコリコですよね。もしくはヴァイオレットちゃん。

この辺りが好きなら堪らん展開なのではないかと思いますです、はい。