『近畿地方のある場所について』を読みました

「なんか話題になってるなー」と思って読み始めたらものすごく怖くて気持ち悪い本で、読み終わった後「え?これもしかしてホントのこと?最後まで読まない方がよかった?」とか思ってネットで検索したら「20年後くらいに図書館で読んだ人が、これ本当のこと?って思ってもらえたらいい」と著者さんがインタビューに答えられてる記事を目にしてほっとしました。

いや、これとてフェイクかもしれませんが。何がほんとで何が創作かわからない!

こういうジャンルのことを「フェイクドキュメンタリー」というそうですね。

以下、ちょっとだけあらすじ(?)を書きます。

著者の「背筋」さんが登場します。

いつもは別の名前でライターの仕事をしているが、この本を書くにあたって「背筋」と名乗るのだとのことでした。

このお話は、背筋さんの友人が行方不明となっていて、本の読者に対して情報の提供を呼びかける内容なんです。

新人の編集者である友人は、とあるホラー特集のために情報を集めていたとのことで、勤めている出版社の資料室で過去のホラー雑誌の記事を読み返していると、いくつかの記事が「近畿地方のある場所」という共通点で繋がることに気がついたというのです。

関連した内容をネットで調べてみると、やはり同じように、近畿地方のある場所に関連した、巨大掲示板のスレッドや、SNSへの書き込み、個人のブログ記事、YouTubeにアップされた動画があるんです。

この本は、それらをオムニバス的に次々と読み進めながら、合間合間に背筋さんの読者に語りかけてくる話も読んでいく形式になってるんです。

それは、匿名でとある場所へ誘われる書き込みがコメントについたりDMで送られてくる話だったり、心霊スポットになっている廃屋で起こる怪奇現象の話だったり、自殺の名所になっているダムとマンション、とある小学校でこっくりさんのように子どもたちの間で流行っている遊び、両手を上に伸ばしててジャンプし続ける赤いコートの女などなどと、はじめはバラバラなエピソードなのですが、読んでいくうちにだんだんと「近畿地方のある場所」に集約していくんですよ。

それがまー怖い、怖いんだけど続きが気になる。

これがネット時代のホラー作品か!と思いました。

ご興味持たれた方は読んでみてほしいのですが、怖がりな方はやめといた方がいいかもしれません。