先日「線画のまま色を塗らずに放置していたイラストにクリップスタジオの自動着彩機能で色を置いてみたらうすしおが激辛になった」という旨の記事を書きました。
ぼくが普段使わないような色味の作品が出来上がり「これはなかなか面白いな!」なんて思ったんですが「この自動着彩をベースにしてさらに手動で色を置いていったら、なんかいつもと違うものができるんじゃないか?」なんて考えたんです。
「先生、下地はやっておきました。」
「うむご苦労。では仕事に取り掛かるかな。」
みたいな、中世ヨーロッパ美術の工房みたいな師弟関係ごっこができないかな?と思ったのです。
で、やってみたのがこちらです。
比較していただきやすいように、自動着彩のイラストももう一回下に貼っときます。
正直なお話をすると、自分の意図が介在していない色の上に置いてくのは普段より時間がかかりました。
やはり、自分でゴールを見定めながら下地を塗ったほうが塗りやすかったです。
弟子に下準備をさせたら弟子の個性がですぎちゃった!みたいな感じですね!
でも、いつもとはちょっと違う色味にできたかな?とも思います。
化粧でいえば下地の部分を自動化することで(男のぼくが化粧を語るのはおこがましいですが)、ついついマンネリ化してしまいがちな部分にメスが入った感じになったな〜というところですかねぇ。
今後、例えば10枚くらいぼくのイラストを読み込ませてテイストを学習してもらっといて、それを参考に下地を自動着彩してくれるような発展を自動着彩くんが遂げてくれれば、さらに面白いことができるかもしれません。
そーすると、仕上げの段階でもう一段階上の描き込みなんかもできるようになるかもしれませんよね。
あ、でもこの機能が実現すると「憧れの絵師さんのイラストばっかり学習させる」なんてこともできるようになっちゃいますね。それはちょっと著作権的なトラブルが発生するのかな?どーなんだろう?
「好きな絵を模写して練習する」って部分が自動化されてるだけのような気もするし、その絵師さんの長年の研鑽を自動化で盗んじゃうってことにもなるような気もする。
はたまた、絵師の個性の真骨頂は仕上げ段階であって、基礎の部分はオープンソース化することで絵描き界全体の底上げにもなるような気もしますね。テクスチャや模様が自動化されてるってことの延長にも思えます。
なんか最近は、急速にいろんなことができるようになっていったがために、その都度起きた問題に対応した色んな前例や慣例が複雑に絡み合うようになって結果ものすごく表現が不自由になってしまってる気がします。
もう少し、誰も損しない範囲でいろんなことがおおらかになればいいな〜なんて思ってしまいます。
ぼくは大学入学の頃にWindows98が出回った世代で「これからは誰でもクリエイターやアーティストになれる」ってのを目の当たりにして、これは本当にすごいことだと感動したのがITやネットとのファーストコンタクトでした。
紅白の美空ひばりさんもちょうど見たんですが、最初の「すごいな!」と後からこみ上げてくる微妙な「これじゃない感」みたいなののハイブリットが、ぼくはデジタルの好きなところです。
すごいんだけど、人じゃないとできないところがあるからこそ、1984みたいな世界はこないっていうか、デジタルをちゃんと道具として付き合っていけるっていうか。
道具であればこそ「どう使うか」って部分で個性が出せるのがいいなって思うんです。
これからも、ITやAIでワクワクするようなことができたり見させてもらえたらいいなって思います。
ちなみにぼくはナチュラルメイクが好きです。