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読書感想『デルタの羊』アニメファンはみんな読んだほうがいい!

すごくワクワクする小説を読みました。

塩田武士さん著の小説『デルタの羊』です。

デルタの羊

デルタの羊

  • 作者:塩田 武士
  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: Kindle版
 

 ぼくがこのブログで読書感想記事を書く際、あまり著者さんのデータとかは記載せず、あくまで「ぼくがどう感じたか」を中心に書くことを意識してるんですね。

でも、この塩田武士さんに限っては、元新聞記者さんの視点から、昭和の未解決事件である「グリコ・森永事件」を題材にした小説『罪の声』に興味を持って、読んでみたらとてつもなく面白くて、そこからファンになった作家さんだったので「あの社会派な塩田さんがアニメ業界の小説!?」と手に取ったのです。

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そして、作中に溢れる「アニメへの愛」にどっぷりと浸ってしまいました。

あ、書き忘れましたが『デルタの羊』はアニメ業界が舞台の小説です。

以下、あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけくださいね。

敏腕アニメプロデューサーの「渡瀬智哉」さんは「アルカディアの翼」という小説のテレビアニメ化に奔走しています。

今まで小説の作者が映像化に対して誰にも首を縦に降らなかったものを作者の元に何度も足を運んで信頼を得て了解してもらい、最高のスタッフを揃えて制作を進めていきます。

一見キレもののクールな渡瀬さんですが「真正のオタク」で、学生時代のバイブルだった「アルカディアの翼」を自分の手でアニメにしたくて業界に入った人だったんです。

業界内で着々と力と人脈を蓄え、アラフォーになってついに!という段階にこぎつけたものの、今のアニメ業界が抱える様々な諸問題や複雑な人間関係が渡瀬さんを襲います。

・・・という始まり方をするのですが、ここで物語の主観が「文月隼人」というフリーのアニメーターにバトンタッチします。

文月さんは、びっくりするほど高額なキャラデザの依頼を中国のゲーム会社から依頼されます。「誰かに騙されてるんじゃないだろうか?」なんて疑心暗鬼になりながらも、自宅兼職場に戻った文月さんが取り組むのは、現在制作に関わっている、「渡瀬智哉というアニメプロデューサーが主人公のアニメ業界の闇を描いたアニメ」の原画でした。

え?

何言ってるか分からなかったですか?

ごめんなさい!

でもこれ以上語るとこの作品の面白い部分をバラしてしまうことになるのでここまでにします!!

とにかく、この物語で語られるのは、どうやら現在のアニメ業界が抱えている、もしくは今対面している諸問題と、その問題に立ち向かう「アニメ愛」に溢れた登場人物たちの群像劇なんです。

そして、この立ち向かっていく感じがめっちゃカッコいいんですね。

しかも、彼ら彼女らはかっこいいだけではなく、お茶目というか、つまりオタクで、会話の端々にアニメファンがニヤッとするような言い回しというか、言ってしまえばエヴァとかプリキュアとかの引用が盛りだくさんの会話を繰り広げるんです。

物語の中盤、とあることから主人公たちは苦境に立たされるんですが、そこから散り散りになった仲間たちが集まって、ラストまでのラスボスへの反撃の構図はもはや少年漫画のノリで、はっきり言って胸熱です。

そして、おそらくこのノリは、アニメファンじゃないと分からなくて、しかも主人公たちと同年代であるアラフォーはドンピシャすぎてやばいです。

そして、業界は違えど、夢や目標に向かって仕事するのって、いいなぁって思いました。

ぼくも、世界に影響を及ぼすようなことはできないかもしれないけど、誇りを持って楽しみながら日々の仕事に取り組みたいもんです。

無料お試し版もあったので、そこのアニメファンのあなた、是非!